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診療報酬ファクタリングの現状
東京都台東区のファクタリング プロです。
当社では、診療報酬ファクタリングを取り巻く現状について解説いたします。
01.利用の現状 02.介護は利用しにくい? 03.「3ヶ月分OK」に潜むリスク 04.どんな使い方がいいのか |
利用の現状
診療報酬ファクタリングとは、医療機関や調剤薬局、介護施設等の事業者が、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険から受け取る保険適用分の報酬(診療報酬債権)を対象としたファクタリングをいいます。
社会保険診療報酬支払基金の統計資料によれば、2015年度の診療報酬の債権譲渡は月平均5,500件470億円にのぼります。前年と比較すると約8%の増加となっています。
区分別のシェアでみると次のようになります。
コンビニよりも多いといわれている歯科の件数シェアよりも調剤のシェアが多いことに驚きますが、調剤薬局は院内処方やコンビニなどとの競争にさらされていますから食料品調達などのご商売上のご苦労が多いのだろうと推測できます。
介護保険は国保を利用するので、このデータにはほとんど含まれていません。
介護は利用しにくい?
では、介護事業者のファクタリング利用状況はどうなっているかというと、具体的なデータがないのではっきりとしません。そこで、介護事業全般を対象にした経営状況を見てみます。
厚生労働省の平成26年(2014年)介護事業経営実態調査結果によれば、介護事業者の収支差率(粗利率のようなもの)は、もっとも高い特定施設入居者生活介護で12.2%です。
財務省の統計による中小企業規模の製造業だと18%程度の粗利率なので、それに比べて低い数値です。
しかも、収支差率がもっとも低い居宅介護支援が△1.0%と赤字状態にあることは驚きです。
こうした経営面でご苦労の多い介護事業者は資金繰りに頭を悩ませているはずですが、介護事業者に対する与信は低めのようです。政策金融の創業融資の状況を見ると介護福祉関係は1件あたり600万円の融資になっていて、これは他の業種に比べると低めです。
介護事業者がファクタリングを利用しにくい理由の一つは返戻率の高さが関係していると考えられます。
返戻率とは、レセプトの不備などによって請求が差し戻される等の割合ですが、社会保険診療報酬支払基金の統計資料によれば、医科、歯科、調剤が概ね0.4%前後なのに対して介護は3%程度となっています。
介護事業者のファクタリング利用シェアが低いのは、収支差率の低さ、返戻率の高さといった事業構造上の問題による与信の低さが要因といえるのかもしれません。
なお、弊社の「医療ファクタリング」は介護事業者様にもご利用いただけます。
「3ヶ月分OK」に潜むリスク
診療報酬ファクタリングを提供するファクタリング会社は銀行、リース会社、貸金業者等があり、それぞれの会社が多彩な商品を提供しています。
インターネットの広告をみると「最大6ヶ月分」「3ヶ月分までOK」といったコピーが並んでいます。
これは、月間レセプト金額の3〜6ヶ月分を一度に現金化するという意味です。
通常は請求から入金まで2ヶ月程度かかるので、ファクタリングの契約時点で請求済みの報酬も2ヶ月分ですが、3〜6ヶ月分ということは請求中のものや将来の請求分も買い取ってもらうということになります。
たしかに一度に多額の資金を調達できるのは魅力的ですが、買い取ってもらったことによってそれ以降の入金分の大半が支払いに回ってしまいます。(下図参照)
上図のように調達した資金の返済中(6月から8月)は手元資金が極端に減少してしまいます。
なお、3ヶ月分を買い取ってもらって返済を毎月分割で支払うのは債権を担保にした融資ですから、混同しないようにしましょう。
こうしたリスクを理解せずに複数月の報酬を買い取ってもらった結果、ファクタリングから抜け出せないケースが少なくありません。弊社にもレセプト3ヶ月分でファクタリングを利用したけれど手元資金が無くなってしまってなんとかならないかというお問い合わせをいただきます。
しかし、ここで弊社が3ヶ月以上先の報酬を先買いしてしまうわけにはいきませんので銀行からの融資をご案内しています。また、一度に複数月のレセプトを買い取ってもらうと資金繰りが極度に悪化していて融資の審査が厳しくなることがほとんどです。
どんな使い方がいいのか
診療報酬ファクタリングは当月の売上を翌月のキャッシュとして利用できる点が最大のメリットですから、未請求の将来分も売却してしまうのは考えものです。
ただでさえ実際の請求額ではなく過去実績の平均値を採用されることが多く、当月の現金になるのは80%で残りの20%は2ヶ月後というサイクルを考えると尚更です。
そこで弊社では毎月の実際の請求額の最大98%を現金化する「医療ファクタリング」という商品を販売しています。これは従来のファクタリングで一般的な「過去実績重視」「留保金設定」という制約を取り除いたものです。
この商品は介護事業者様にもご利用いただけます。
将来分の買取りはしませんから、単純に当月の売上を当月の資金に活用したい方にピッタリの商品です。
これなら止め時もきちんとコントロールできますよね。
また、小規模の介護事業者様向けに特化した「介護のおさいふ」というファクタリング商品もあります。
事業規模が小さくてもご利用いただけますから、資金繰りが大きく改善されるはずです。
設備投資などの資金は融資で調達し、運転資金の資金繰りにファクタリングを利用するというように使い分けることが大切です。